秋の風物詩と言えば「柿」、そんな柿の旨味が凝縮された甘酸っぱい「干し柿」は、秋から冬にかけて旬を迎える、大人にも子供にも人気のあるドライフルーツ・お菓子です。
この「干し柿」を作る「干し柿農家」を、週末限定の副業にしている方が地方を中心にチラホラ現れつつあるのをご存知でしょうか?平日はサラリーマンとしてバリバリ働いている方が、週末や平日の隙間時間などを上手にやりくりして、しっかりと「干し柿つくり」で副収入を得ているのです。今回はそんな、「副業干し柿農家」の実情に迫ってみたいと思います。
意外にも若者の新規参入が増えつつある「農業」
昨今、若者の間で農業が見直されており、それに伴い20~40歳代の層の新規就農者が増えています。これには、田舎暮らし、スローライフへの憧れ、そして、よりやりがいのある仕事を求めて、自然の中で体を動かしながら働きたい、そんな理由が背景に見え隠れしています。
そして、そんな流れの中、週末のみの副業として農業を行うサラリーマンなども現れてくるようになりました。ただ、当然ながら、農業を副業として成り立たせるのはそんなに簡単な事ではありません。
まず、スタート地点に立つには、幾つかの条件をクリアしている必要があります。それは、使用できる農地を持っているか(借りられるか)・農業に適した地方に住んでいるか・利益の出せる農作物を育てられる地域であるか、などです。
逆に言うと、こういった条件を兼ね備えている方でしたら、副業としての農業はトライする価値があるでしょう。そして、今回の「柿」「干し柿」は、先述した比較的利益の出しやすい農作物に当てはまります。「干し柿農家」という選択肢がピックアップされる理由がここにあるのです。
「副業干し柿農家」はどういった作業をするのか
「柿」は育てやすい果実、結実する確率が高い果実としてよく知られています。その為、家庭果樹(家庭で育てやすい果樹)の代表格ともなっています。また、「柿」を「干し柿」に仕上げる作業工程も比較的シンプルで、極端な話、軒先・ベランダ・室内に吊るして干すだけ、です。
一度「干し柿」にしてしまえば、冷蔵する事で1ヶ月くらいは持ちますし、冷凍保存に至っては3~4か月は十分に持ちます。こういった点が、「干し柿農家」が副業として選ばれる、より具体的な理由です。
とある「副業干し柿農家」の例ですが、自前の土地に柿の木が80本ほど植わっており、作業は基本的に週末のみ(収穫期に関しては平日も稼働)、年間で80~90万円ほどの収入、といった具合です。そして、12月から春にかけて枝を手入れし、5月頃には(一枝毎の)蕾の量の調整作業、夏には出来の悪い果実の除去作業(摘果)と、こういった農作業が年間を通して必要となります。
販売に関しては、地域の農産物直売店・道の駅・農協関連店舗・インターネット直販などを利用する形となります。もちろん誰しもがトライできる副業ではありませんが、田舎暮らし・スローライフ・農業などに興味があり、前述した各種条件を兼ね備えた方でしたら、チャレンジする価値はあると思います。